ばうわうひひーん

テキストで吠える

「ウマ娘」スペシャルウィークのストーリーについての感想

 

 ウマ娘には様々な魅力がある。私が好きなのはストーリーだ。もちろん原作、というかモチーフとなった史実馬がドラマチックな活躍をしていたからこそ成り立っている。

 しかし、1周年で追加された新シナリオのクライマックス編は強いキャラが作れる反面、キャラ関係のイベントがごっそり消えている。そも育成には時間がかかりストーリーは往々にしてスキップされがち。私もそうだ。一周年を迎え、初心に帰るべくストーリーを楽しもうと決意。


日本総大将

 最初に選んだのはスペシャルウィーク。アプリのアイコンにもなっていて、アニメ1期での主人公格だ。
 なぜ彼女が主人公なのか。それは競馬人気が高い時期で、現在でも最強世代と名高く、タレント揃いだった98世代の代表格だからではなかろうか。個人的には活躍する名馬たちの血統が割とバラけていたのがよかったというか、面白みがあったと思う。

 98世代は一つ上と下にも名馬が多く、短距離、中・長距離にダートに国内のみならず海外でも活躍した馬が多い。作品として主軸にするに適しているとは思われる。また、ゴルシの世代も名馬は多いが権利関係で出せない馬も多くストーリーなどを展開するのが難しかったことは想像にかたくない。


 私はロジャーバローズがダービーを制した年に競馬を始めた。そのため当時の98世代のことは知らないので多くは語れない。色々あったみたいだし。

 ともかくも、そんな名馬の中、スペシャルウィークの競走成績は勝ったり負けたりだが、それが負けから再起する展開に持ってけるし、やはりダービー馬なのがでかい。競馬をモチーフにしている以上、ダービーは避けて通れない。

 スペシャルを軸に据えれば分かりやすい話が作れるということで、ウマ娘の顔というのも頷ける。

 余談。北海道出身で田舎、訛りというキャラだが、競走馬の多くは道内出身なのが当たり前だったりする。


ストーリー

 性格はどの媒体でも大きく変わらず、日本一のウマ娘を目指すというのが目標。今更ではあるがストーリーを主にして彼女についての感想を述べたい。

 なお、キャラストーリーと育成ストーリーはある程度同一の出来事とし、メインストーリーでのチームシリウスでの活躍はパラレルかなという判定で考えたい。


 キャラストーリーが始まってすぐ、トレーナーはスペと出会う。商店街で老人の手伝いをしており、彼女の性格、その一端がうかがえる。
 その後、割とシンプルに担当トレーナーになり、嫌味のないお話になるのかなと思いきや、クラスメイトに母親のことを持ち出され、負けてくれと頼まれたり暗雲が立ち込める。田舎出身で初めて尽くしの彼女は落ち込んでしまう。

 スペの根幹となる部分には母親の存在がある。彼女には産みの母、育ての母の二人いて、二人分の想いを背負っている。そこをつかれると弱くもなる。

 母、友人、ライバル。それぞれの想いや願いを受け取って絆にし、暗雲を払う。


 育成ストーリーはキャラストーリーの続きだろう。
 日本一のウマ娘になるという目標のもと、話は進む。
 デビュー戦は阪神の芝2000。史実ではマイルだが、アプリの距離適性により中距離からのスタート。

 続いての目標はきさらぎ杯。史実では白梅賞を挟んでいる。俺はホープフルを挟んだ。そして3着に終わった。史実ではもちろん勝利している。しかしアプリは違う。負けても話は進むのだ。勝ちましたって感じのイベントではあったが。

 いよいよダービーに出る。
 スペのストーリーは王道だ。ウマ娘とトレーナーの関係性も理想的という具合に、二人三脚でトレーニングを積んでいく。時には食い意地の張った彼女に振り回されつつも。
 ダービー前のインタビューでスペは宣言する。そしてトレーナーは思うのだ。なんてええ娘なんやと。俺はお前を勝たせたい。しかし、お前もまた俺を勝たせたいと思っていたのか。

 ダービーに勝利し、トレーナーをダービートレーナーにしたスペ。
 次なる目標は菊花賞。その先にある天皇賞・春セイウンスカイをくだして菊花賞バの称号を得る。

 天春ではまたも同期に打ち勝つ。
 ただ、ここまでの主な相手はウンスとキングヘイローの二人であり、外国産馬であるエルコンドルパサーグラスワンダーとの直接対決とはならなかった。

 ストーリー上ではジャパンカップでパサーと。有馬でグラスと対決する。グラスワンダーは事実上のラスボスである。なぜか。それは史実において二戦し、スペが一度も勝てなかったからだろう。
 宝塚記念有馬記念はグランプリレースであり、ダービーホースのスペとの相性はそこまでよくなかったのかな、とか色々あるが、とにかくスペはグラスに勝てなかった。だからこその最終目標なんだろう。

 有馬の後、エンディングでは共に北海道へ帰省するトレーナーとスペ。

「今の私はどう映っているのか」と問われる。

 誇らしいのは当然だが、私には娘のようにも見えた。実の娘などいやしないが、自慢の娘である。関係性もトレーナーとウマ娘なのは確かだが、少し踏み越えて父と娘になったような、そんな気さえした。


俺の愛バが

 ストーリーを一度クリアし直した。
 だが、あくまでこれは俺のスペがの話である。プレイによってローテは変わるし結果も変わる。ダービーで負けることもあるし、三冠バにもなれる。細かな部分でトレーナーごとにスペがいる。

 基本的にはスペのストーリーはアニメでガッツリやっているので目新しさはない。優等生なもんで、ぶっちゃけ飛び抜けて面白いわけでもない。同室のスズカとの絡みは少なく、あくまで98世代のストーリーという感じ。

 ただ、変わる。
 まだ描写しきれていない箇所もある。それがメインストーリーの最終章にあたる。シリウスという環境にある彼女がどのような心の動きを見せるのか。擦りに擦り倒した彼女をどう描くのか。


最終章の前編

 主な中身として、クラシック戦線ではセイウンスカイ天皇賞・春ではメジロブライトと激戦を繰り広げる。

 最終章ではスペの弱点というか、主人公格ならではの箇所が露呈する。それは主体性だ。
 日本一のウマ娘になることを掲げるが、それはいったい誰のためなのか。どのような手段を用いるのか。育成ストーリーでは具体的に語られない部分だ。
 彼女は想いを背負うが故に理由すらを他者に見出すほかない。自分自身の意思。それを見つけるのが最終章のテーマなのかもしれない。

 最終章は後編に続く。前編ラストで出た凱旋門賞バの名。アニメとは違うものが見られそうで楽しみ。


まとめ 

優等生なでき。アニメ視聴組はこすり倒した内容なので新鮮味はない。筆も乗らなかった。ぶっちゃけメインストーリーで大きく扱われているのでそっちで補完するのがベターか。

最近見た映画の感想

 

 アプリをしながら映画を観るのが好きだ。
 今はウマ娘ほか、色々とアプリを進めているので、映画もガンガン流しまくる。覚えているものを備忘録的に。

 

 とりあえずといった感じで疫病神シリーズの破門、螻蛄。次いで凶悪を観た。アホみたいなラインナップだが、おすすめで表示されるのだから仕方ない。


ヒメアノ〜ル

 ざっくり言うと、童貞と童貞とサイコキラーと童貞殺しのお話。

 どこにでもありそうな雰囲気の中、薄ぼんやりと本作はスタートする。

 童貞に好かれる女、ユカ。彼女を軸にしての話が始まる。立ち上がりはスロー。童貞濱田岳、童貞ムロツヨシのぎこちなさのあるやり取りで、ストーリーはラブコメのようにゆるーく転がっていく。やがて童貞は童貞を捨てる。やったね。

 が、世にも恐ろしいタイミングでのタイトルバックの後、空気が一変。本作の主演が紛れもなくサイコキラー森田剛であることを実感させられる。あ、この映画はこっから始まるんだなと思い知らされる。

 原作とは違い、モノローグを排除している。それが森田の得体の知れなさを強めていてよかった。
 演出は非常に嫌らしい。たとえば、ある場面を交互に映すのだが、分かりやすく効いてくる。

 童貞二人もいい感じだし、ユカちゃんは男の転がし方を知ってて悪女っぽさがいい。しかしやはり何よりも森田剛がすげえ。本作が映画初主演らしいが……多くは語らないもシコってる時にあの顔できるか? 俺もあの目は一生忘れん。えっぐいキャラ。演技に見えん。100点満点というか、殿堂入り。別枠やね。

 結構きつい場面が多いように感じる。暴力は疫病神や凶悪でも振るわれるが、それなりに前置きがあるし、暴力に近しい状況だからある程度は飲み込める。本作は日常的というか、どこにでもありそうな光景の中に直接的な描写が突っ込まれる。ヒットした後の痙攣とか、ヒットするたびにしょんべん飛び散るとか、たぶん孤狼の血とかね、そういうのより残酷。それはやはり暴力を振るう方も振るわれる方も自分にとって身近に感じられるし、そもそもその暴力も意味がない。金勘定銭勘定とか関係なく襲ってくるのでやーさんのそれよりタチが悪い。

 それでいて着地点はちょっと想像つかないところに。なかなか揺さぶってくる映画でした。

 あんまりにもなので、放課後ていぼう日誌見て回復します。


ミュージアム

 小栗旬がうるさい映画。ファンは必見。ショッキングなシーンが多い。中だるみというか、見てて長く感じた。

 漫画的だと思ったが、原作はやはり漫画だった。みんな言ってるが、ざっくり言うとセブンとソウを足して……2で割った? でもないが、まあ、影響は受けてんのかなって感じ。

 説明も過多だったかな。そんな言わなくても分かるし、早い段階で底が知れる。

 役者は、妻夫木くんはあのキャラで嫌味がなかった。人柄やね。松重豊は基本的に頼りになる上司で安心感がある。ラストあたりの尾野真千子は良かった。強くて草生える。

 底意地の悪いラストショットといい、セブンよろしく雨降りも多く、全体的に陰鬱。死体の描写なども頑張っている。悪くないがこの雰囲気なら演技とセリフがうるさ過ぎた。


刑事グロムと粛正の疫病ドクター

 酷いタイトルに心を惹かれた。どんなクソが待ち受けているのか覚悟したが杞憂に終わった。中身は王道のヒーローものだ。

 ロシア映画で冒頭からテンポがいい。中だるみしそうなところはあったが、主役は熱血漢で荒々しく、孤高だ。古臭いというか、由緒正しい不良刑事(デカ)。財布をなくした年寄りに金を押しつけて立ち去る姿はスクライドのカズマを彷彿とさせる。

 脇役もいい。キャラが立っている。特に上司のプロコペンコ関連。

 勘違いしそうになるが主人公のグロムには特殊な能力などない。考えて考えて、身一つで事件を解決に導く。彼独自のシミュレーションがアクションシーンに少しスパイスを加えて、うん美味しいといい出来になる。

 グロムが追うのは疫病ドクター。ペストマスクを被り、火炎放射器をぶっ放し、正義の名の下に市民の敵をぶっ殺す。SNSなんか駆使しちゃって頭も切れる手強いヴィランだ。

 ドクターを追ううち、ストーリーは市民を巻き込んでバットマンやらジョーカーらしくなっていく。追い込まれるも考えて考えてグロムは捜査を続ける。考えるのをやめた時、彼の周りにはあるものが。

 ネトフリ作品らしく満点を取ることはないが優等生らしい出来でした。


微笑む人

 ネトフリにてドラマ版を視聴。松坂桃李ええな。
 イヤミス系に入る作品だろうか、真実は特に明かされないが、まあ、そうだよねというところに落ち着く。どこまで彼が目論んでいたのかは定かではない。

 原作とドラマでは結末が違う。ドラマ版は分かりやすいところに持っていったかなという印象。原作のがよりモヤモヤできるとは思う。

 松坂桃李もあの旦那もいい笑顔でした。


告白

 イヤミスの女王こと湊かなえの作品。これに限らずイヤミス系って、そこまで人を愚かというか、悪意マシマシで描けるのはすごい。どんな人生送ったら思いつくんだろう。


少林サッカー

 間違いない名作。何度見てもようできとる。
「みんなが戻ってきた」の覚醒シーンはアームズのくれてやる3連発に匹敵する。


羊の木

 寂れた町に、元受刑者が6名。そして全員殺人犯。静かなそこは次第に歪んでいく。

 設定はクソほど面白そうだったのに、思ったより話が動かねえという感じでした。

 羊の木はバロメッツという伝承から取られているようで。キャッチコピーの信じるか、疑うか。ということからも、伝聞された情報を得た時、自分が何を信じるか、みたいなのを指しているのかなと。それは劇中で秘密を最初から知っているキャラであったり、我々視聴者も、移り住んできた受刑者たちをどのように捉えるかというのがこの作品の見方だったように思います。

 個人的MVPは優香。彼女をエロいと思ったのは生まれて初めてでした。


バトルロワイヤル

 今見たら大したことないですが、当時の盛り上がりはすごかった。やっぱ名作には時代も大事。


エクストリームジョブ

 ダメ刑事たちが悪いやつを捕まえるためにチキン屋を買い取って張り込みだ。が、店は予想以上に繁盛しちゃった、という。

 出だしの設定自体が面白く、何よりテンポが良い。話がころころ転がっていく。チームの掛け合いが小気味よく、普通に笑える。

 店が繁盛したり、悪徳店として叩かれたり、チーム解散の危機に陥ったりと見ていて飽きない。このままダラーっと進むのかと思いきや、これまでダメ扱いされていた主人公らが、まさかのフィジカルエリートであることが判明。伊達に麻薬捜査官じゃない。ラストのアクションシーンは無双ばりの爽快感が得られる。

 キャラクターがめちゃ立っていて、こいつらの話があと100時間は見たいと思わされた。

 よくできた超良作。何回も見られそう。


アーミーオブザ・デッド

 ゾンビ繋がりで。これを視聴。
 オープニングから期待感のある雰囲気で、鬼強いゾンビが軍隊をスラッシュ。

 トップレスのダンサーゾンビ登場からのタイトルバックでこれはいいぞと確信。さすがザックスナイダーといったところか。とんでもないゾンビ映画の名作が登場やと絶頂寸前。

 しかしここがピークだと知る。
 ゾンビでいっぱいのラスベガス。そこの金庫を破れという話。仲間を集めて、さあ行くぞと意気込んだが展開は実にスロー。ドスロー。ガンガンぶっ放しながらガンガン血肉が飛び散るのを見たかった私にはちょっと違うかなと。

 馬に乗るゾンビで草生えたのでよしとする。


真・三國無双

 あのゲームが映画化。ストーリーは董卓討伐の虎牢関まででメインキャラは蜀の義兄弟。
 吹き替えが基本、ゲーム版準拠なのは嬉しい。
 謎空間で謎女との説明パートや、初見の呂布がどう見ても細くないと戸惑ったり。袁紹は雰囲気ある。
 ゲーム版よろしく人をゴミのように吹き飛ばしまくる武将も強いが馬が強すぎる。予後不良になりそうな動き。アクションはゲームらしくて良い。呂布とのバトルも思ったより見応えがある。
 これだけだとうーんだが、劇伴が無双で最高だった。


ミスターノーバディ

 おっさんを敵に回すからこうなる。しかもその家族まで敵に回すと。
 敵が可哀想になってくる点はイコライザーっぽい。

 製作陣はジョンウィックチームということで、たしかに似通っているところもあったか。

 ジョン・ウィックセルフオマージュだが、主人公はスタイリッシュには見えない、冴えない中年。冷たい家庭と職場を往復するだけの日々、それがバスの車内で爆発する。このアクションシーンが泥臭くて見もの。というか基本的にアクションが面白い。

 敵役はロシアンマフィアだが、そんなんどうでもいいくらい主人公が頭おかしい。最初こそ大丈夫かこいつ……弱くねえかと思って観てたが、途中から無双しまくってて笑うしかない。

 クリストファーロイドが銃ぶっ放して楽しそうなのが素敵だった。おっさんだけじゃなくてジジイもつええんだ。


紙の月

 いち銀行員が横領に手を染めたよというおはなし。
 宮沢りえがエロいだけやなーと思って観てたら最後の最後で草。そんなスタイリッシュというか、無茶苦茶なやり方ある?

 平凡な主婦が、という触れ込みだが、こいつ絶対やべーやつだわ。行動力無限大だし、そもそも人の金に手をつけることに関して何とも思ってなさそう。マジモンのサイコパス


ドントルックアップ

 でけえ彗星が半年後、地球に衝突する。その事実を世界に伝えようとする科学者の奮闘を描く、ってわけでもないが、そんなお話。

 劇中、最初は全然誰も聞く耳持たないが、案外そんなもん。やばいってなった時、いったん思考停止して立ち止まるのは普通のこと。
 パニックムービーではなく全方位風刺映画。

 ただ、これって実際もそうなるよなという感じがある。笑えるけど笑えんよなという世の中になりましたねという。

 秀逸なのはラスト。えー、そんなんあり? でもちょっとスッキリ。

 コメディ風だけどひたすらに救いがない。考えさせられる良作。


アイアムアヒーロー

 普通に見られた。ゾンビも結構頑張っててグロい。あと動きがきしょいのと、うわ言も相まってより気色悪い。

 アクションパートはよくできているように思う。高速での車内とかね。

 銃ぶっ放してからがかったるく感じた。もうちょいこう、音楽とかどうにかならんかったかね。

 邦画であるのを踏まえてもゾンビものとしてめちゃめちゃいい出来で、ただ、原作とは趣が違う。キャラが弱くて薄い。全然立ってないから別にこいつらみんな死んでも何とも思わんって感じ。大泉洋はよかった。いい演技。


ナイブズアウト

 

 ミステリー映画。資産家の爺さんが死に、誰がやったかという話。

 探偵役にダニエルクレイグ。脇にクリスエヴァンスなどの豪華俳優。時間は長いが、クセのあるキャラがコロンボチックに事件を捜査し、クセのあるキャラを追い込んだりして案外飽きない。

 特にダニエルのやかましさがいい。自分に酔いしれているように喋る鬱陶しさがクセになる。
 ゲロ吐き少女マルタが素晴らしい。嘘をつくと吐いてしまう、ある意味便利な体質で、これがやっぱり面白く機能する。何よりもその清廉潔白が気持ちいい。

 細かな伏線もあり、二度三度と見られる出来。古典的、正統派なんだけどプロットにもクセがあって観ている方はおやおやと引き込まれる。

 ナイブズアウトとは剥き出しの悪意。それをぶつけられた人物が最後に取った行動に痺れた。

「君との思い出~さとみ先生と始める大人の恋~」感想・レビュー

 

 あまかけプラントの「君との思い出~さとみ先生と始める大人の恋~」を聴き終わったので感想を述べたい。


 まず渕上舞を起用したことに対して厚く御礼を申し上げたい。どうして今までどのサークルも使わなかったのか理解に苦しむ。基本的にはどのような役柄も演じられる芸達者さんだが、今作の年上女性という落ち着いたキャラクターとの相性は抜群である。無限に聞ける。


 落ち着いたお姉さんにリードされていく本作。全体を通して1時間ちょい。割りかしセリフ量は多く、雑談が多い。個人的にはこの時間だと詰め込み過ぎかなという印象。
 また、主人公(視聴者)の設定が決められ過ぎかなと。思い出を語ってくれるんだけど妙に設定が細かいので「知らんし」「いや俺バリバリの部活マンじゃねえし」と冷静になる。体育会系がこんなもん聞くかよと。
 ここはもっとプレーンというか、当たり障りのない思い出のがよかった。


 メインとなるのは40分超の耳かきパート。癖のない導入部から決め手のある囁きと時折漏れる吐息がジャブを積み重ねていく。オノマトペやら息を吹きかけるだとか肝は抑えている。肝心の耳かき部分の音に関しては……特に言うことはない。良くもなく、まあ、アホほど悪くもない。

 最後に寝息が少々。
 短いし、喋りっぱなしって感じだから、ドラマに重きを置いていて、その点、合わない人は合わないでしょう。

 ただまあ、女教師という設定はどうでもよかったのでは。ほとんど活かされていない。なにせ学校を卒業したあとの話であるからして在学中の交際に介在する背徳感やら罪悪感といったスパイスがない。誰もいない教室で、廊下から響いてくる足音にビビりながらこっそり耳かきしてほしいという感情もあった。

 食い足りなさを感じる作品だが、渕上舞のASMRが聞けるのは世界中でこれだけなのでそこに価値は見いだせる。

 

はじめましてよりお久しぶりの方へ。『アイドルマスター スターリットシーズン』 感想・レビュー。

 

 

 

 

アイドルマスター スターリットシーズン」をクリアしたので感想を述べたい。

前置き

 長く続いているシリーズなので色々と語りたいことはあるが、大前提としてアイドルマスターの名を冠したゲームが面白かったことは私の知る限りただの一度もない。少なくとも私は面白いと思ったことはない。今作、スタマスもそうだ。ではなぜそのようなタイトルの新作が出たのか。私が購入に踏み切り、クリアまで持ち込んだのか。それはゲーム性とかはどうでもよく、推しのアイドルと触れ合える唯一無二の存在であることにほかならない。

 

 題材としてアイドルを扱った作品は他にもある。戦国時代とも称される現在。それでもアイドルマスターはキャラ、モデリング、曲、演出、どれもとっても群を抜いているように思う。十余年も前に戦端を切り開き、古強者のプロデューサーたちを生み出した功績は大きい。

 

 スタマスはゲームとしては正直つまらない、退屈な部類だ。しかし歴史に裏打ちされた我々のアイドルはここにしか存在しない。

 

アイマス遍歴

 今作について語る前に、私のアイマス遍歴について記しておく。


 最初、彼女らと出会ったのはゲームセンターだった。当時、格闘ゲームに血道を上げていた私だが、特異な筐体が入荷されて強い興味を抱いた。アイドルを育成するとはなんて面白そうなんだと思ったが、金がいくらあっても足りないという声を聞き、プレイすることはなかった。

 

 初めてプレイしたのは箱版だった。ここで追加された星井美希に「ハニー」と呼ばれたことに強い衝撃を感じた。
 そこからSPやモバイルでのエリアゲームを楽しみ、ゼノグラシアに驚き、思春期を迎えた真美に心を奪われてアイドルマスター2をプレイし、2011年版のアニメを視聴し、各種ソシャゲにも手を出した。スタドリに塗れた。ライブのDVDもいくつか購入し、何度も見返した。

 ただ、ここで途切れた。
 私は真美のPなので、主流はASのアイドルであり、ソシャゲはあくまで派生作品としか見ていなかったのだが、いつしかそちらに流れがいったような気がして、アイドルマスターからは自然と離れていった。
 2以後に発売された「プラチナスターズ」と「ステラステージ」の評価が芳しくなかったこともあり、据え置きのアイマスには十年も触れていなかった。


 スタマスは特異な作品である。人によってはアイドルマスターだが、アイドルマスターではない。歪に枝が絡み合った大樹のようなものだ。
 なんじゃそらという話だが、プロデューサーと一口に言ってもその実態は奇々怪々としている。私のようにいわゆる無印から765プロのアイドルを知ったものもいれば、ニコニコ動画から、アニメから、ソシャゲから、あるいは別の媒体から入ったものもいる。今作が複数の事務所から成るアイドルユニットをテーマにしているのだから「俺の推しを目立たせろ」「この子はこんなんじゃない」「そもそも出演してねえ」といった声が上がるのは火を見るより明らかだったはずだ。

 

 一周目をクリアした段階での所感だが、今作もやはり、主役はASだった。
 後輩や新たな同輩を得た春香たちが成長した姿を見られ、新たな関係性を構築している様を見られた。346や283プロ推しのプロデューサー諸兄にとっては食い足りなさを覚えても仕方のないところだと思う。

 とはいえ、アイマスから離れていた私にはちょうどよかった。ASキャラがおり、他事務所のキャラも知っていたので何ら不都合なくスタマスをプレイすることができた。恐らくだが、最前線でPとして活動していたのなら今作をプレイしなかった、かもしれない。

 

テンポ テンポ 俺のテンポじゃない!

 肝心のゲーム内容だが、特に変わらない。ゲームとしては今までの据え置きシリーズとほとんど同じである。
 挨拶してレッスンしてライブしてファンを増やして目標を達成して~の繰り返しだ。

 最初に触って思ったのは「思ってたんと違う」である。
 求めていたのは女子校ではなく、マンツーマンの個別塾だ。もっと二人三脚感がほしかったんだなあと、改めて思った。

 

 今作は3月から12月までの10ヶ月をスターリットシーズンと称し、ルミナスというユニットを組み、大目標であるライブに出るぞというお話。そう。マジでやることは特に変わらないのだ。しかし変わるものはある。現代社会に生きる私にとってはテンポの悪さが目立ち、プレイするぞという気勢を削ぎに削ぎまくってくれた。


 まず頭を抱えたのはストーリー、というか会話のテンポである。
 メインストーリーの軸となるのは今作から登場し、ルミナスに加入する「心白」。彼女のライバルである「亜夜」の二人だ。この二人には確執があり、修復があり、分かりやすい流れでそこはいい。新参のキャラがメインかよとも思ったが、なにせ29名プラスアルファのアイドルたちがいるのだ。中心にいるのはまっさらで真っ白なキャラクターがいい。心白というアイドルと対することによって他のアイドルたちがどのように動き、思って、どう見えるのか。新たな関係性が生まれることは想像に難くない。

 ただし29人いる。

 一度に全員が喋るわけではないが、まあ、いちいち一人ずつリアクションがあって、一人分のセリフを複数人で分け合って喋って、ちょろちょろ画面も動く。学芸会じみている。
 もちろん全員をある程度平等に扱う必要はあるだろう。それは理解している。しかし頭では分かっていても体が拒否反応を示した。アイマスのキャラクターは素晴らしくいい子たちばかりだ。だからこそ予定調和的で面白くはない。タイプが似ているキャラもいるし。無論、もっとギスれというわけではない。私を含め、多くのプロデューサーはそのようなものをアイマスに求めていない。

 なもんで当たり前だが、ストーリーに関しては新キャラに興味がないとのめり込めないだろう。


 会話の次にやる気を削いでくれたのがレッスンだ。
 年寄りのリハビリにも幼児の知育にもならないようなものをやらされる。こんなんなら操作させないで数字が増えたという結果だけを見せてほしかった。


 ライブもいつもの、である。音ゲーではなく、ちょっとしたリズムゲームをやらされる。久しぶりにやったら画面がごちゃっとしていて見づらくて仕方なかった。派手な演出で輪っかが見えにくいんだよ!


 チュートリアルらしき展開が終わって、すでに数時間が経過していた。私はゾッとした。えっ、マジでこれ12月まで……あと10ヶ月もやんの? 何年かかるんだよ。私はアプリケーションを終了した。

 

高難度と不親切は違う

 今作の評価を下げる理由の一つに難易度が高いという意見を耳にしたが、それは少し違うような気がする。ただただ不親切なだけだ。ゲームデザインとしては本当に終わってると言ってもいい。


 各メニューの行き来がしにくい操作性の悪さ(特にスキルボード関連)、画面の見づらさ、テンポの劣悪さ、ライブに重要なスキルへの導線の乏しさや、そもそもライブ中にごちゃごちゃ操作させ過ぎな煩雑さ……ああ、枚挙にいとまがない。

 

 プロローグに数時間かかる時点で令和のゲームとして失格の烙印を押されても仕方がない。そのようなタイトルであるからして細かな詰めの甘さが散見するのは当然である。それらを飲み込んだ我々Pに襲いかかるのはメンバー制限という高い壁というか、どうしようもない穴だ。

 

 今作は1ヶ月毎に目標となるライブが存在する。これをクリアしないと先に進めずゲームオーバーだ。私なら「よし、センターは真美で行くぞ! というか真美のソロでいいです」と行きたいところだがそうは問屋が卸さない。月ごとに曲とメンバーが決められており、プロデューサーはその中からユニットを選出する必要に駆られるのだ。
 つまり、人によっては全く興味のないアイドルを育成しなければならないし、ライブでスコアを伸ばすためにコミュをクリアして思い出ボムを集め、スキルボードを埋めなければならない。ええ……?


 今作には自由がない。
 みんなを活躍させなくてはいけないという大所帯であるがゆえのストーリー。歌唱メンバーというのは苦肉の策だ。それに合致させるというか辻褄を合わせるためのシステムの弊害である。メンバーを好きに選べないこともそうだが、スケジュールも決められている。たとえばパラメータが足りないからこの週はレッスンしまくるぞとか、ファン数稼ぎたいからステージばっかりやりたいと思っても、無理だ。それはできない。月曜日はレッスン。火曜日は営業。水曜日はレッスン。木曜日は平日ステージです。それ以外は何もできんぞ触れんぞと一切の容赦も余地もない。
 ということはレッスンの回数も決められている。全員をまんべんなく育てることは困難というか不可能だ。


 先へ進むためにプロデューサーは苦渋の決断を迫られる。レッスンも、コミュも、無制限にはできない。
 攻略に必要なものは間引きだ。切り捨てなくてはならない。しかし、そもそも誰を育成すればいいのかも判然としない。とりあえずで選んだメンバー、選択肢一つもミスできない。コミュは常にパーフェクトを取らなければ攻略が遅れてしまうからだ。序盤は常にカツカツだ。マニーもない。足りているものは一つもない。衣装を売ってくれる店もあるが、そんなことよりステを伸ばせる種と行動回数を増やせるドリンクだ。


 そしてどこかで詰まる。
 メンバーの育成が足りなかったか。スキルを理解していなかったか。ユニゾンのタイミングをミスしたか。あるいは――――いったい、どこで間違ったのか。
 ゲームオーバーすると救済措置として時間を巻き戻せるが、どこまで戻せばいいのか。というか、戻してやり直したところでクリアできるか判断がつかないと思う。
 やり直し、細かいセーブアンドロードを要求するくせに絶望的なテンポの悪さがプレイヤーのリトライ・リプレイを邪魔するというマジもんの悪魔ですよ。そも、アイドルときゃっきゃしたいだけの層にこういうのはあんまりだ。事前に攻略情報を仕入れていないと無理だろこれ。そう感じた。


 ちなみにだが、私は仕入れた。プロローグを終えたあと、その後のプレイを一度断念し、それでもクリアだけはしなくてはと一念発起した。絶対ゲームオーバーしたくねえと攻略を見て、自分なりに逆算して、何月に誰をレッスンするか、誰のコミュを踏むか、などとローテを組んだ。ぶっちゃけここ考えてるときが楽しかった。
 これを攻略サイトノールックの1発クリアできるPは少ないと思う。そも、最初のライブを突破しているのもトロフィー取得率からして6割程度だった。この手のキャラゲーでそんなんある? ガスコインじゃないんだぞ。

 

ナンバーワンではなくオンリーワン

 だめなところばかり書き連ねてしまったが、いいところももちろんある。それは主にグラフィックの進化であり、強化されたステージの演出だ。
 キャラクターは新たなエンジンとレンダリング技術によって十年前より細かく動き、表情もより豊かになった(モデリング自体は前作・前前作である程度完成していたそうな。私は2以来なので新鮮味があった)。ライブで汗をかくアイドルは確かに生きている。単推しには厳しいかもしれないが、それでも今作のコミュはそれなりに分厚い。十分に楽しめるはずだ。

 

 成長したASメンバー。平面でしか見られなかった各事務所のアイドルたちが生き生きと動く姿。脇を固める社長、事務員たち。これこそアイマスなんだよなあとか懐かしさすら覚える。やっぱり真美なんだよなあ、そこはよかった。もちろん他のアイドルも可愛かった。

 

 なんだかもう、ゲームがクソとかUIがクソとかそんなもんどうでもいいんだよという潔ささえ感じられる。そこのみにて光輝く、そういう一点での突破にかけてきたのか。

 でも季節が変わっても私服が同じなのはどうなんだ。響、寒くないのかその格好。
 小物系がなくなってたりと細かいところには不満あり。


 新曲も素晴らしかった。
「SESSION!」の馴染み具合はやばい。聴いてて新曲と思わなかった。いわゆるつかみとしてはバッチリで、続く「夏のBang!!」も「アイシテの呪縛」も素晴らしかった。だからこそもっと色んなキャラに、というか全員に歌ってほしかったなあというのはある。

 

乗り越えた先に見えるもの

 今作はアイドルマスターというガワを被っていなければ後悔の怨嗟とともに中古屋に売り払われてしまうであろう逸品である。実際私はそうしかけたし、プレイ中も文句を言いつつやっていた。ぶっちゃけ悪いところはまだ書き足りないくらい。テンポの悪さを早送りとスキップで補いつつ。しかし、気づけば春が過ぎ、夏を越え、秋を迎えていた。

 コミュをクリアすると事務所にものが増える。アイドルたちとの触れ合いの中で手に入れたぬいぐるみや楽譜、ソファやカップ麺の山など。少しずつこの空間に愛着がわき始める。いつしか、ルミナスのプロデューサーとしてこの世界に埋没しているという感覚があった。

 そうして永遠に続くかとも思えたプロデュース業の最後の最後、12月31日に待ち受けているのは私のような邪悪な心を浄化する圧倒的な光の演出である。ぶっちゃけライブだったらウマ娘のが上じゃねえのとか思ってたけど、やっぱ本家は違うわ。ラストだけである程度のマイナス点を吹っ飛ばせる出来だった。これを見るためにスタマスをプレイしていたのだ、私は。


まとめ


 いつものアイドルマスターでした。ただ、ボリュームはアップし、ビジュアルと演出もパワーが増している。駆け足のつもりでしたが、クリア時間は35,6時間はかかってましたね。ノースキップだと倍以上はかかるのか。すごいっすね。
 今はもう私の知るアイドルマスターという世界ではなく、ぐっと多様に広がっているみたいで。今作をおすすめできるのは私のように満遍なく色んなキャラを知っていたアイマスおじさんで、単独のアイドルが好きというより、全部ひっくるめたアイマスの世界観が好き、という人になると思う。

 

余談
 ぶっちゃけASオンリー、あるいはメイン扱いってのはもうないだろうと思う。彼女らは成長してしまったし、やっぱり何がとは言わないが「老けたな」と思う。違和感を覚える瞬間もある。私が歳をとったのだ。彼女らもそうだ。不動のセンター感のある春香を見て、なんとなく寂しさも覚えた。
 だから、今度は違う事務所の、後輩であるアイドルたちがメインとなるべきだと思う。というか次回作は埼玉勢を出してくださいお願いします。ギャルユニット組ませてください。

 

 文句言いつつクリアしましたが、実は2周目からが本番です。
 メンバー制限は解除され、強くてニューゲーム状態。これでやっとセンター真美を連打できます。ライバルユニットのアイドルもプロデュースできるらしく、エンディングも分岐する感じ、なんですかね? お楽しみのコミュ関連も自由に閲覧できるし、衣装もクライマックスアピールもコンプしたいですね。かくいう私はDLCをいくつか買って2周目に突入しております。S4Uもありますし、ゲームプレイ中はステージをちゃんと見られませんからね。今度はゆっくり楽しもうと思います。