ばうわうひひーん

テキストで吠える

「ウマ娘」スペシャルウィークのストーリーについての感想

 

 ウマ娘には様々な魅力がある。私が好きなのはストーリーだ。もちろん原作、というかモチーフとなった史実馬がドラマチックな活躍をしていたからこそ成り立っている。

 しかし、1周年で追加された新シナリオのクライマックス編は強いキャラが作れる反面、キャラ関係のイベントがごっそり消えている。そも育成には時間がかかりストーリーは往々にしてスキップされがち。私もそうだ。一周年を迎え、初心に帰るべくストーリーを楽しもうと決意。


日本総大将

 最初に選んだのはスペシャルウィーク。アプリのアイコンにもなっていて、アニメ1期での主人公格だ。
 なぜ彼女が主人公なのか。それは競馬人気が高い時期で、現在でも最強世代と名高く、タレント揃いだった98世代の代表格だからではなかろうか。個人的には活躍する名馬たちの血統が割とバラけていたのがよかったというか、面白みがあったと思う。

 98世代は一つ上と下にも名馬が多く、短距離、中・長距離にダートに国内のみならず海外でも活躍した馬が多い。作品として主軸にするに適しているとは思われる。また、ゴルシの世代も名馬は多いが権利関係で出せない馬も多くストーリーなどを展開するのが難しかったことは想像にかたくない。


 私はロジャーバローズがダービーを制した年に競馬を始めた。そのため当時の98世代のことは知らないので多くは語れない。色々あったみたいだし。

 ともかくも、そんな名馬の中、スペシャルウィークの競走成績は勝ったり負けたりだが、それが負けから再起する展開に持ってけるし、やはりダービー馬なのがでかい。競馬をモチーフにしている以上、ダービーは避けて通れない。

 スペシャルを軸に据えれば分かりやすい話が作れるということで、ウマ娘の顔というのも頷ける。

 余談。北海道出身で田舎、訛りというキャラだが、競走馬の多くは道内出身なのが当たり前だったりする。


ストーリー

 性格はどの媒体でも大きく変わらず、日本一のウマ娘を目指すというのが目標。今更ではあるがストーリーを主にして彼女についての感想を述べたい。

 なお、キャラストーリーと育成ストーリーはある程度同一の出来事とし、メインストーリーでのチームシリウスでの活躍はパラレルかなという判定で考えたい。


 キャラストーリーが始まってすぐ、トレーナーはスペと出会う。商店街で老人の手伝いをしており、彼女の性格、その一端がうかがえる。
 その後、割とシンプルに担当トレーナーになり、嫌味のないお話になるのかなと思いきや、クラスメイトに母親のことを持ち出され、負けてくれと頼まれたり暗雲が立ち込める。田舎出身で初めて尽くしの彼女は落ち込んでしまう。

 スペの根幹となる部分には母親の存在がある。彼女には産みの母、育ての母の二人いて、二人分の想いを背負っている。そこをつかれると弱くもなる。

 母、友人、ライバル。それぞれの想いや願いを受け取って絆にし、暗雲を払う。


 育成ストーリーはキャラストーリーの続きだろう。
 日本一のウマ娘になるという目標のもと、話は進む。
 デビュー戦は阪神の芝2000。史実ではマイルだが、アプリの距離適性により中距離からのスタート。

 続いての目標はきさらぎ杯。史実では白梅賞を挟んでいる。俺はホープフルを挟んだ。そして3着に終わった。史実ではもちろん勝利している。しかしアプリは違う。負けても話は進むのだ。勝ちましたって感じのイベントではあったが。

 いよいよダービーに出る。
 スペのストーリーは王道だ。ウマ娘とトレーナーの関係性も理想的という具合に、二人三脚でトレーニングを積んでいく。時には食い意地の張った彼女に振り回されつつも。
 ダービー前のインタビューでスペは宣言する。そしてトレーナーは思うのだ。なんてええ娘なんやと。俺はお前を勝たせたい。しかし、お前もまた俺を勝たせたいと思っていたのか。

 ダービーに勝利し、トレーナーをダービートレーナーにしたスペ。
 次なる目標は菊花賞。その先にある天皇賞・春セイウンスカイをくだして菊花賞バの称号を得る。

 天春ではまたも同期に打ち勝つ。
 ただ、ここまでの主な相手はウンスとキングヘイローの二人であり、外国産馬であるエルコンドルパサーグラスワンダーとの直接対決とはならなかった。

 ストーリー上ではジャパンカップでパサーと。有馬でグラスと対決する。グラスワンダーは事実上のラスボスである。なぜか。それは史実において二戦し、スペが一度も勝てなかったからだろう。
 宝塚記念有馬記念はグランプリレースであり、ダービーホースのスペとの相性はそこまでよくなかったのかな、とか色々あるが、とにかくスペはグラスに勝てなかった。だからこその最終目標なんだろう。

 有馬の後、エンディングでは共に北海道へ帰省するトレーナーとスペ。

「今の私はどう映っているのか」と問われる。

 誇らしいのは当然だが、私には娘のようにも見えた。実の娘などいやしないが、自慢の娘である。関係性もトレーナーとウマ娘なのは確かだが、少し踏み越えて父と娘になったような、そんな気さえした。


俺の愛バが

 ストーリーを一度クリアし直した。
 だが、あくまでこれは俺のスペがの話である。プレイによってローテは変わるし結果も変わる。ダービーで負けることもあるし、三冠バにもなれる。細かな部分でトレーナーごとにスペがいる。

 基本的にはスペのストーリーはアニメでガッツリやっているので目新しさはない。優等生なもんで、ぶっちゃけ飛び抜けて面白いわけでもない。同室のスズカとの絡みは少なく、あくまで98世代のストーリーという感じ。

 ただ、変わる。
 まだ描写しきれていない箇所もある。それがメインストーリーの最終章にあたる。シリウスという環境にある彼女がどのような心の動きを見せるのか。擦りに擦り倒した彼女をどう描くのか。


最終章の前編

 主な中身として、クラシック戦線ではセイウンスカイ天皇賞・春ではメジロブライトと激戦を繰り広げる。

 最終章ではスペの弱点というか、主人公格ならではの箇所が露呈する。それは主体性だ。
 日本一のウマ娘になることを掲げるが、それはいったい誰のためなのか。どのような手段を用いるのか。育成ストーリーでは具体的に語られない部分だ。
 彼女は想いを背負うが故に理由すらを他者に見出すほかない。自分自身の意思。それを見つけるのが最終章のテーマなのかもしれない。

 最終章は後編に続く。前編ラストで出た凱旋門賞バの名。アニメとは違うものが見られそうで楽しみ。


まとめ 

優等生なでき。アニメ視聴組はこすり倒した内容なので新鮮味はない。筆も乗らなかった。ぶっちゃけメインストーリーで大きく扱われているのでそっちで補完するのがベターか。